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GID学会で個人報告します2018 [出演・イベントなど]

来たる2018年3月24日(土)~25日(日)に東京は御茶ノ水ソラシティを会場にGID学会の第20回研究大会が開催されます。

 →大会の詳細は公式サイトでご確認くださいhttp://gid20.kenkyuukai.jp/


私・佐倉智美としては、昨年度の札幌にて開催された第19回研究大会には参加しそびれたので2年ぶりとなりますが、同じく東京での第18回大会に続いて、今般の第20回大会でも一般演題にて個人報告をいたします。

報告タイトルは
『性別適合手術と美容整形の間』

割当時間は2日めの午前。10:50~11:50の一般演題6「生殖倫理とヘルスケア枠(第2会場・2階[ Terrace Room ]にて)の予定です。

内容は、性別適合手術に美容整形とは異なる意味が与えられているのは男女という二元的カテゴリを絶対視する社会のありようゆえなのではないかという考え方を、美容整形についての先行研究をひもときながら検討するものとなります。
(今回は報告タイトルにダジャレはナシ(^^;))


◎報告要旨
一般社会では性別適合手術は、いわゆる「美容整形」の範疇に属するような形成外科手術とは異なるカテゴリーのものとして認識され、それぞれ別個の社会的意味を与えられてまなざされていることが通例だろう。医学的な意味での両者の形成外科手術としての詳細な共通点・相違点は報告者の専門とするところではないが、両者の社会的な位置づけが、なぜどのように異なる位相で配置されているのか、あるいは両者を異なるものとして峻別する認識やその動機づけ、それをもたらす規範意識がいかに構成されているのかなどについては、やはり社会学的なアプローチが望まれる領域である。
そこで本報告では、谷本奈穂の『美容整形と化粧の社会学』(新曜社 2008)での研究を、報告者自身のホルモン操作や性別適合手術の体験記録を補助線として当てながら検討し、以て「性別適合手術と美容整形の間」を読み解いてみる。
得られる知見としては「身体加工の核心にあるのが《自己満足》である」「他者からの反応は薄く、他者からの評価は第二義的なものにとどまる」「しかし一般社会からはドラマチックな物語を期待されている」「化粧品や服飾への欲求に見合った身体への所望が動機となりえる」「想像上の自己・想像上の他者という概念が動機にかかわる」「《女性》の場合は身近にいる《同性》とのコミュニケーションから重要な影響がある」「アイデンティティに身体を合わせるオペレーションである」ことなどが共通していることがあり、性別適合手術と美容整形の相同性が浮かび上がる。
これにより、性器を基準に人を男女のいずれかに分類し、その境界線を越えることを簡単には認めない社会構造が、ホルモン操作や性別適合手術による身体改造に単なる美容整形以上の社会的意味づけを付与しているのではないかという推論は補強される。しこうして性別適合手術と美容整形を分かつことや、さらには男女いずれのジェンダー属性であるかを重用する性別という社会システムに存する「二元論」は相対化されることとなろう。
性別適合手術への健康保険適用が始まろうかという今、性別適合手術と美容整形との峻別はどうあるべきか、両者の共通項をふまえたうえでの議論を、本報告をつうじて深めたい。


……というわけで、大会ご参加のみなさま、会場でお会いしましょうノ


なお24日の夜の「GID全国交流会」も参加するつもりです。


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(2018/03/28)
全日程つつがなく終えまして無事に帰ってきました。
総合的にいろいろ有意義でした。
前泊時の夜には、ひょんなことから20年前の性別移行時の頃からの仲間らと久しぶりに再会して飲み会になったりしました。
学会会場では他の参加者と有益な意見交換もできました。
24日夜の「GID全国交流会」は若いスタッフらががんばっていて、これまた盛会でしたし。
で、
ワタシの個人報告も「生殖倫理とヘルスケア」というけっこう(社会学がホームだとすれば、分野的に)アウェイ感のあるセッションに入れられていたにもかかわらず、相応に好感触でした。
上記要旨中にある「想像上の自己・想像上の他者」概念や「アイデンティティに身体を合わせるオペレーション」を主軸に膨らませ、決めゼリフ(!?)に持ってきた【身体とは現実世界用のアバター】はけっこうウケてたかも(^^;)
なお、
本報告の二次抄録は、学会誌 Vol.11(2019年3月に開催の第21回研究大会に参加の会員には、その場で配布されるもの)に採録の第20回研究大会抄録集の中に掲載されるよう執筆寄稿いたします。


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